希望退職制度は、企業が近い将来においての経営リスクに備え、期間を限定して自発的に退職者を募る制度を言います。希望退職制度に応じて退職する従業員には、早期退職制度と同じく「退職金の割増し」や「再就職支援」など自己都合退職ではないような優遇措置が用意されていることが一般的です。早期退職制度と違うポイントは、期間限定で退職希望者を募るため、ほとんどの場合従業員への「退職勧奨」が伴うことになります。
なぜこのようなことが起こるのかというと、
日本の労働法は、会社側が一方的に従業員を解雇することは、労働者保護の観点から厳しく制限しています。そのため、会社の業績が悪化したからといっても、従業員を解雇するには、大きなハードルがあります。
だから、リストラの前段階の対応として、希望退職制度で従業員を募集して人員削減を行おうというものです。「希望」と言っているため、従業員の意思が最優先され、法的な拘束力があるものではないため、会社側から強制することはできません。ただ、希望退職制度に伴う退職の場合は、原則として、自己都合ではなく会社都合での退職が成立します。
ちなみに希望退職制度は希望すれば100%成立するというたぐいのものではなく、能力の高い従業員や専門的な従業員は引き止めに合うこともあります。原則といったのは、希望退職制度の成立には「従業員と会社双方の合意」が求められるため、こうした引き止めも認められています。その際に会社の合意がないままあいまいに退職した場合は、会社都合ではなく自己都合の退職となってしまうこともあるため注意が必要です。
在籍している会社が希望退職者を募り始めた場合には、まずは冷静に受け止めましょう。もちろん経営状況を改善するための施策ですから、不安になるかと思いますが、会社がすぐに倒産するわけではありません。